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パレスチナを知るための60章

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1948年のイスラエル建国以降、中東の火種となってきたパレスチナ。70年近くに及ぶ難民キャンプの暮らし、あるいは「分離壁」に代表されるイスラエルの抑圧的な政策の下にあって、なおアイデンティティを求め続けるパレスチナの人々を描く。

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Ⅰ パレスチナ イメージと実像

第1章 パレスチナとはどこか――アイデンティティの拠り所を考える
第2章 世界に離散するパレスチナ人――繰り返される移動
第3章 パレスチナ人はどんなところに住んでいるのか――難民キャンプから「持ち家」へ
第4章 パレスチナ人は何を食べているのか――オスマン時代から続く伝統的食文化
 【コラム1】パレスチナの家庭料理――ひと手間が引き出すおいしさと家庭の誇り
第5章 パレスチナのイエと社会――パレスチナ人のアイデンティティ/39
 【コラム2】結婚式
第6章 キリスト教徒として生きる人々――多様な宗教文化
第7章 ドゥルーズ派の人々――イスラエルとアラブのはざまで
 【コラム3】「3652年間この地に生きる」サマリア人
第8章 失われた多様性――つくられた「マイノリティ問題」
第9章 ハリウッド映画のパレスチナ人像――捏造される「悪いアラブ」
 【コラム4】映画『ミュンヘン』――9・11後のアメリカ社会とパレスチナ問題
第10章 日本人キリスト教徒のパレスチナ・イメージ――パレスチナへの無関心は何によるのか
第11章 『オリエンタリズム』の衝撃――日本でのエドワード・サイード受容


Ⅱ 歴史

第12章 オスマン帝国時代のパレスチナ――蒔かれた紛争の種
第13章 イギリスによる支配――パレスチナ委任統治期
 【コラム5】ド・ブンセン委員会――イギリス中東分割政策の青写真
第14章 パレスチナ難民はなぜ生まれたか――忘却されるナクバ
第15章 イスラエルに残ったパレスチナ人――差別・分断と新たな機運
第16章 アラブ・ナショナリズムとパレスチナ・ナショナリズム――シュカイリー初代PLO議長
第17章 パレスチナ解放運動の昂揚――ヤーセル・アラファートとパレスチナ解放機構(PLO)
第18章 アラブ諸国との軋轢――黒い9月とレバノン内戦
第19章 石の蜂起――幻の独立宣言から孤立へ
 【コラム6】アメリカン・コロニーの変遷
第20章 オスロ和平プロセス――誕生・展開・挫折
第21章 なぜパレスチナ人はハマースを支持するのか――暫定自治政府の限界
 【コラム7】アフマド・ヤースィーン――創設者が描いたハマースの原点と広がり


Ⅲ 生活と文化

第22章 ヘブロンの都市生活――イスラーム的伝統の復興
第23章 オリーブと生きる――土地とのつながり、人々の暮らしの象徴
 【コラム8】パレスチナのビール・ワイン
第24章 パレスチナの刺繍――モチーフが映し出すパレスチナ
 【コラム9】パレスチナの衣装
第25章 難民女性ガーダ――占領と強権の圧力に抗する
第26章 「同胞の“痛み”を我が“痛み”として生きる」――人権活動家ラジ・スラーニとその活動
第27章 タブーに挑む――パレスチナ人ジャーナリストの挑戦
 【コラム10】パレスチナ映画――パレスチナ人の実存の視覚的オルタナティブ
第28章 パレスチナ演劇――「失われた」言葉を取り戻す
 【コラム11】パレスチナの踊り「ダブケ」
第29章 パレスチナ文学――ナクバから生まれた言葉の力
 【コラム12】言葉の「ナクバ」――ヘブライ語で書くパレスチナ人作家
第30章 ウード弾きたちの挑戦――伝統音楽から新しい地平へ
第31章 ポピュラー音楽――革命歌からラップまで
 【コラム13】パレスチナ系アメリカ人のコメディアン


Ⅳ 世界の中のパレスチナ

第32章 国連の難民救済事業――UNRWAの活動
 【コラム14】第一次中東戦争に参加した北アフリカ義勇兵
第33章 アメリカのパレスチナ関与――歴代大統領はパレスチナをどう見てきたか
第34章 ソ連・ロシアの対パレスチナ政策――放置されるロシアの飛び地
第35章 パレスチナ国家の承認――紛争解決の模索
第36章 大国エジプトの変節――宗教、帝国主義、民族主義、そして新しい時代へ
 【コラム15】ガザ難民――二人の女子学生と出会って
第37章 隣国ヨルダンの歩み――紛争の展開と国家像の模索
第38章 シリア・レバノンのパレスチナ人――安全と未来を求めて
 【コラム16】「イスラーム国」とパレスチナ
第39章 大義を掲げる湾岸諸国――アラブの同胞か、他人事か
第40章 聖都エルサレム――占領下の生活空間
第41章 イスラエルとパレスチナの非対称性――国家主体と非国家主体
 【コラム17】パレスチナを旅行する


Ⅴ 経済と社会

第42章 パトロン・クライアント関係――近代パレスチナ社会の支配層
第43章 水と土地――権利あるいは空間をめぐる問題
第44章 ヨルダン川西岸の産業――実地調査から見える現状と課題
 【コラム18】パレスチナの伝統工芸品
第45章 パレスチナの農業――資源と市場への限られたアクセス
第46章 農村の生活――パレスチナの文化を育む農村の暮らし
第47章 通貨と金融――オスロ合意は何をもたらしたか
第48章 公共部門と公共サービス――あまりに不安定な現実
 【コラム19】アンマーンの交通事情と難民
第49章 ワクフ――翻弄されたイスラーム的信託制度
第50章 難民の初等・中等教育――UNRWAの教育と育つ人材
第51章 占領下で学ぶ――大学設立にかけた願いと挑戦
 【コラム20】記録し、発信する――パレスチナ研究機構の挑戦
第52章 変遷する障害者福祉――誰も置き去りにしない社会に向けて
 【コラム21】分離壁


Ⅵ パレスチナと日本

第53章 対パレスチナ外交――人的交流から資金援助まで
 【コラム22】アラファートの日本訪問とIPTIL
第54章 日本に来たパレスチナ人――パレスチナ駐日代表アブドゥルハミードと日本
 【コラム23】PLO東京事務所と日本
 【コラム24】李香蘭とパレスチナ
 【コラム25】「天よ、我に仕事を与えよ」――自己否定と弱者の政治=軍事再考
第55章 日本の経済支援――国際協調と地域安定への試み
第56章 日本の医療支援――パレスチナに根づいた支援
第57章 市民社会による支援――1万キロを越えての連帯とその課題
第58章 イスラエル・ボイコット運動――パレスチナにおける「アパルトヘイト」廃絶への挑戦
第59章 フェアトレード――生活の糧としての伝統工芸
第60章 日本のジャーナリズムとパレスチナ――エルサレム特派員が見たオスロ合意
 【コラム26】戦前・戦中の日本とパレスチナ

 パレスチナを知るための文献・情報ガイド

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四六判 412ページ

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