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『富豪に仕える 華やかな消費世界を支える陰の労働者たち』アリゼ・デルピエール

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(出版社による紹介文)

世界各国の例にもれず、大富豪と呼ばれる層はフランスにもいる。彼らはパリ首都圏と地方(たいていは南仏)の豪邸や城に住み、使用人に仕えられながら暮らしている。一口に大富豪と言っても、代々の貴族やブルジョワなどと、一代で富を築いた新興富裕層ニューリッチでは価値観も生活形態も違うが、いずれもいわゆる華やかな世界で暮らしている。彼らが光なら、使用人は影だ。本書はそうした影の存在に光を当て、彼らの労働環境、来歴、心の内を探り、人が人に仕えることの意味を問うている。

 大富豪同様、使用人も千差万別でパターン化は難しいが、移民や移民家庭出身者、女性が大半を占めるという顕著な傾向がある。高給取りで雇用主から様々な現物支給を受ける者もいれば、徹底的に「搾取」される者もいる。料理やベビーシッター(富豪はあえて英語で「ナニー」と呼ぶ)を専門とする使用人もいれば、家事全般を担うマルチタスクの者もいる。多くの使用人は、より実入りのよい仕事とステップアップを求め、自分の生活や健康を犠牲にすることさえいとわず、自分よりずっと格上(と彼らが考える)の人々の私生活を共有し、彼らから評価され、さらにそれに見合うだけの金銭的・物質的報酬を得ることで満足感を得、時には雇用主に自分を投影することさえある。

 現代ではかつてのような露骨な従属関係は減ったものの、「ゴールデン搾取」(使用人の献身を高値で買うこと)あるいは「静かな暴力」という形で支配は続いている。豊富なフィールドワークとインタビューを経て書かれた本書では、使用人職の内包するアンビヴァレンスが随所で明らかにされ、その分析を通じて著者は、人が人に仕える状況において、真の対等かつ自由な関係はありうるかと問う。昨今、労働を取り巻く環境はデジタル革命やコロナ禍で大きな変化を遂げつつあり、さらに日本では高齢化や人手不足が深刻化している。大富豪の使用人という特殊な切り口とは言え、今後の雇用関係や労働、また再生産労働(シャドウ・ワーク)の問題を改めて考える上で、本書は様々な示唆を与えてくれるだろう。

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四六判 ソフトカバー 262ページ

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