ニーナ・シモンのガム 失われたものと見つかったものをめぐる回想 | ウォーレン・エリス
¥4,950 税込
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著者のウォーレン・エリスは音楽家/作曲家。Nick Cave and the Bad Seedsのメンバー。1999年にロンドンで行われたニーナ・シモンの伝説的ライブで、ニーナ・シモンが噛んだガムをきっかけに、20年の時を超えて動き出す物語。ちょっと高い(4950円)ですがハードカバーの重厚な作り、オールカラー。翻訳されて読めることに感謝。
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(出版社による紹介文)
1999年7月1日、ニーナ・シモンは、イギリスで最後となる貴重な公演を行った。感動的なステージの終演後、客席にいたウォーレン・エリスはステージに向かい、ニーナ・シモンが噛んだガムをピアノから取り、彼女のステージタオルに包んで持ち帰った。
それから20年。ガムはずっとウォーレンの手元にあり、彼のクリエーティブな営みを支える力となった。そして2019年、エリスの親友でありコラボレーションパートナーのニック・ケイヴが、自身の「ストレンジャー・ザン・カインドネス(Stranger Than Kindness)」展に何か出品しないかと彼に尋ね、ガムの運命が動き出す。ウォーレンはガムを銀と金で鋳造させる。ガムが、誰も予想できなかった出来事の連鎖を引き起こす。
一見取るに足らないもの、すぐに捨てられてしまうようなものが、人と人とのあいだに美しいつながりを生み出していく。これはものや経験に意味が与えられ、精神性を帯びていくことについての物語であり、創作のプロセス、そこから生まれる作品の力、そして愛と友情とを讃えている。
序文:ニック・ケイヴ。
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「ニーナ・シモンのガム」推薦文 都築響一
往年の偉大なミュージシャンのリマスター・リイッシュー・ボックスセットや、分厚い伝記本が毎月のようにリリースされて、それはもうCDや書籍に何千円も払うのがオールド・ファンしかいないからなのかもしれないが、過去の音楽体験をおさらいすることばかりに時間を取られていいのか、という気持ちにもなる。
でも、「ニーナ・シモンのガム」はそういうマニア向けのコレクションとはぜんぜんちがう!と強調しておかないと、ブルースやジャズやクラシック・ロック好きのひとしか手に取らないかもしれなくて、それがすごく悔しい。
最晩年のニーナ・シモンが開いた伝説的なライブで、彼女が歌い出す前に噛んでいたガムをピアノの端っこにくっつけていたのを、ライブが終わってからステージに上がって剥がし、やはり彼女が汗をぬぐったタオルにくるんで大事に取っていた男がいた。それが20数年後に展覧会に出品されることになって、さまざまな騒動が巻き起こる・・・・・・というだけの話。ニーナ・シモンに興味のないひとにはそれがどうした!だろうが、あの、純粋な美しさと芸術的不服従の強度を兼ね備えた音楽を信仰する人間にとって、この本は簡潔な文章と、たくさんの写真によって織りなされた、再会の物語だ。
ニーナ・シモンという神がいて、聖骸布のごとき「ニーナ・シモンが噛んだガム」があって、その神聖なカケラを取り巻くひとびと—--音楽という美の信者たち—--があらわれ、消えてゆく。すべてが現代の、100パーセント実話でありながら、それはときに遠い国の神話のように幻想的だったりロマンチックだったりもする。
いちど描かれた絵画は、記された文章は、レコードに刻まれた音楽は、つくりてのもとを飛び立った瞬間に新たな、コントロールできないエネルギーを帯びて拡がりつづける。ニーナ・シモンが噛んだガムも、そんなふうにただのゴミから世界のだれかを揺さぶり、変えていくエネルギーになった。
この本は、そういう「生まれ直し」の奇跡の証言集なのだった。
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A5変型判 ハードカバー 256ページ(オールカラー)
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